2018年5月23日、生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟(通称:はっさく訴訟)第8回口頭弁論期日(清水知恵子裁判長)が東京地方裁判所103号法廷で行なわれました。裁判所正門付近でビラ配りなど直前情宣、閉廷後の報告集会もあわせて開催。「STOP!生活保護基準引き下げ」編集部員も傍聴応援と取材をかねて参加させていただきました。

お知らせ

次回・第9回口頭弁論期日
日時:2018年9月14日11時~
場所:東京地方裁判所103号法廷(東京都千代田区霞が関1-1-4/アクセス/地下鉄東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」A1出口から徒歩1分、地下鉄東京メトロ有楽町線「桜田門駅」5番出口から徒歩約3分)
※開廷時間が異なりますので、ご留意ください。

法廷

 今回は原告・弁護士などによる陳述は行なわれず──また被告側は依然としてやる気がないようで(?)──法廷は比較的短時間で終了しました。けれども注目すべき点もありました。

 これまで原告が繰り返し主張してきたことは次の2点に集約されます。
《厚生労働大臣により決定された生活保護基準引き下げは違憲・違法である》
《生活保護基準はどのようにして引き下げられたのか? 引き下げに至った過程・判断の根拠は? どこで、どのような人たちが、かかわったのか? これらに関するメモや議事録などの書面を出していただきたい》

 生活保護という「いのちに関わる」制度が改定されるのであれば、変更の根拠が明示されなくてはいけません。判断に至った過程を可視化し、専門家を含む様々な人々による検証を行なうのは、当然のことです。また日本の役所が「根拠」と「過程」について書面を作成していないとは考えにくい。もし仮に作成していなかったとしたら、きわめて悪質な職務怠慢だと責められるべきでしょう。

 しかし今回、被告は第11準備書面において次のような回答をしてきました(要旨)。
《原告の質問に回答する必要はありません》
《原告が回答を求める法的根拠もありません》

 被告は原告の──ごく真っ当な──質問に対して、いっさい答えようとしないのです(それとも答えられないのでしょうか?)。このように被告の不誠実ぶりがいよいよあからさまになっています。今後の裁判において被告はどのような弁論を行なうのか、悪い意味において「楽しみ」といえそうな状況です。加えて裁判所も被告の姿勢に冷ややかな視線を向けている印象があります。とこれはあくまで当リポート執筆者の「主観」ではありますが……

報告集会
(満員の報告集会/撮影:後閑一博)

報告集会

 山川幸生弁護士から、これまでの裁判の流れと今回法廷の解説がされました。以下も「STOP!生活保護基準引き下げ」編集部による要約です。
《生活保護基準引き下げは2012年12月衆院選での自民党(※当時は野党)の政権公約「保護費10%下げ」が根拠とされている。それは「正しい」下げ方とは到底言えない。裁判所は「デフレ調整」「生活扶助相当CPI」に関心を示している。国・厚生労働省はこれらに関して専門家の意見を聞いたのか。あるいは役所内部の担当職員が判断したのか。後者だとしたら、その根拠は? それで「適正」を担保できるのか?》

(※「生活扶助相当CPI」に関する参考ページ「扶助費引き下げのウラに物価偽装」)

 裁判を支援する岩田鐡夫さん(カトリック聖イグナチオ教会信徒、社会福祉士、精神保健福祉士)からは《裁判が空転していて、遅々として先に進まないという印象がある。我々が裁判所に意見を申し上げることは可能だろうか?》という意見が出されました。これに対して高田一宏弁護士が《たしかに裁判が進んでいない。原告と被告の間で半年くらい同じやりとりをしている》と現状を分析し、西田美樹弁護士から《「裁判所は裁判を迅速に進めるように指揮をしてください」という署名を集めて、裁判所に提出するという方法はあります》と提案されました。

西田美樹弁護士
(西田美樹弁護士/撮影:編集部員「S」)

 また、5月14日に提訴された「東京新生存権裁判」の田所良平さんと渕上隆さん(ともに弁護士)による挨拶と説明がありました。これは生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟(はっさく訴訟)とはまた別の裁判です。報告集会参加者から《2013年の生活保護基準引き下げに対する裁判を2年遅れで始めるになったのは何故か?》という質問がありました。田所・渕上弁護士は《2年間の準備期間が必要だった》と回答しました。今後2つの裁判は連携して勝訴を希求することになります。

田所良平弁護士
(田所良平弁護士/撮影:編集部員「S」)

もう一度お知らせ

 次回・第9回口頭弁論期日は、2018年9月14日11時~、東京地方裁判所103号法廷です(東京都千代田区霞が関1-1-4/アクセス)。ぜひとも傍聴応援と報告集会へのご参加をお願いします!

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