リレーメッセージデモ『わたしたち、明日を生きてもいいですか?』が、2018年1月4日、東京都新宿区内で開催されました。約60人の参加者は《生活保護はみんなの命を守る大切な制度》《国・厚生労働省による一方的な改悪は許さない!》と声を上げJR新宿駅周辺を1時間歩きました。
 一人ひとりの個人による、組織的な応援などもない、「手作り」のデモでした。第三者からは「ささやか」な行動に見えたかもしれません。けれどもこれは歴史的快挙でした。少なくともデモに参加した「STOP!生活保護基準引き下げ」編集部員はそう思いました。なぜなら企画・実行したのが生活保護利用当事者(元利用者)の女性たち(以下「女子会」)だったからです。

「M」さん・和久井さん・応援の女性
 リレーメッセージデモ《わたしたち、明日を生きてもいいですか?》のスタート(およびゴール)は新宿区立柏木公園でした。写真中央はデモ呼びかけ人「M」さん。向かって左は実行委員の(一人)和久井みちるさん。右は SNS を通じて情報を知り、応援に駆けつけてくれた方です。デモは「M」さん・和久井さん・そのほかの女性による「女子会」の尽力で実現しました。
 2012年12月の第二次安倍政権成立以降、生活保護費は3年間にわたり段階的に引き下げされました。自民党が「野党」であった時からの政権公約だったのです。その前触れともいうべき某衆議院議員らによる──正当な根拠を欠いた──生活保護バッシングを記憶されている方もいらっしゃるでしょう。
 そして2017年12月8日、厚労省は2018年度から生活保護費を更に削減する方針を公表しました。これに対して、いちはやく抗議に立ち上がったのが「女子会」の方たちでした。
 ・12月12日、厚生労働大臣が諮問する生活保護基準部会開催に合わせ厚労省前でスタンディング(メッセージを持って路傍に立つ)
 ・12月23日、新宿駅東口アルタ前アクション
 行動の中で「M」さんから《デモをやってみたい》という声が上がりました。女性同士では話は迅速に進み、開催決定は12月28日。それからデモ申請などの煩雑な作業が進められ、年も明けた1月4日に《わたしたち、明日を生きてもいいですか?》は開催されました。

メッセージ《生活保護はみんなの味方》
生活保護はみんなの味方
引き下げ STOP
わたしたちはいま生きることができています
でも… いろいろ…ありました
生活保護ありがとう
 呼びかけ人「M」さん制作のメッセージ・クロスが複数枚掲げられました。
 生活保護は利用中の人だけのものではありません。全ての人の命と尊厳を守るためにある制度です。いわば社会の最終的なゲートキーパー(門番)なのです。この門番が機能しなければ、確実に人が「死ぬ」のです。そのような生活保護に対して国・厚労省は理不尽かつ執拗な攻撃を繰り返してきました(現在もしています)。多くのデモ参加者は「命を尊ばない」姿勢に対して強く抗議したのだと思います。自分たちのことだけを言っているのではなくて、社会に生きるみんなの命と尊厳を尊重しようと訴えたのです。

先頭横断幕《みんなの生活保護を守ろう》
 デモ先頭の《みんなの生活保護を守ろう》横断幕は、前日1月3日夜、女子会の有志(複数名)により制作されました。お疲れさまでした。ところで横断幕(+そのほか)製作に参加されたけれど、1月4日の当日は体調を崩してしまい、来られなかった人もいらしたそうです。その方も心はしっかりデモ隊と共にいられたと思います。
 右から2番めの女性は作家の雨宮処凛さん。雨宮さんは生活保護・生存権の運動に何年も前からブレることなく一貫して参加されています。雨宮処凛さん、いつもありがとう!

生きるを守る
生きるを守る
STOP!生活保護基準引き下げ
NO 生活保護改悪 反対
 生活保護利用事者が中心となって行なわれたデモは──「STOP!生活保護基準引き下げ」編集部が把握する限りでは──このたびで三度目でした。
 ・2011年8月10日「私たちの声をきいてください!」(東京都千代田区~中央区)
 ・2012年8月8日「生活保護は恥じゃない」(同上)
 ・2018年1月4日「わたしたち、明日を生きてもいいですか?」(東京都新宿区)
 実際のところ、当事者が主催したデモは数少なくて、支援団体などが中心となり行なわれることが多いようです。そういう文脈でも、2011年と2012年デモの精神を受け継いだ2018年『わたしたち、明日を生きてもいいですか?』は歴史的快挙であったのです。

記念集合写真
 ゴール地点・新宿区立柏木公園で記念写真撮影と交流のひととき。
 デモ中、沿道からの反応はさまざまでした。中には冷笑的な言葉をかけてくる人もいたようです。けれども、全体としての印象は好意的であったと感じるデモ参加者も複数いました。それは現在の社会において「困っている」人がけして少なくないということも理由のひとつにあるのでしょう。
 繰り返しになりますが、デモ参加者は自分のことだけを訴えたのではありません。生活保護は《生きるを守る》制度であり《みんなの味方》です。一人ひとり全ての人がそれぞれの人生を生き、幸せを追求する権利を持っています。誰でも、もし必要なときが来たら、恥じることも恐れることもなく、堂々と生活保護を利用できるのです。それが「生存権」です。あなたは生存が保障されない社会で暮らしたいと思うでしょうか? 家族・友人・大切な人たちの生命が危険に晒されても平気でいられるでしょうか?
 これからも私たちは《みんなの生活保護を守ろう》と主張し続けたいと思います。
 リレーメッセージデモ『わたしたち、明日を生きてもいいですか?』に参加された人たち、準備に携わった女子会メンバー、当日は不参加を余儀なくされた方たち、内心で応援した人たちも含めて、皆さま、お疲れさまでした。ありがとうございました。