2025年3月27日、生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟(通称:はっさく訴訟)は、東京地方裁判所での勝訴(2024年6月13日)に続き、東京高等裁判所でも勝訴しました。
地裁に続いて高裁での勝訴、おめでとうございます。
安倍政権時代の2013年〜2015年、国・厚労省は生活保護費を段階的に減額しました。
東京高裁は、これを「生活保護法に違反する違法な行為であり、厚生労働大臣の裁量権の逸脱にあたるとして非難した」一審判決を支持して、被告(国・厚労省)の控訴を棄却。
違憲かどうかの判断は示さず、慰謝料の請求は退けられました。
はっさく訴訟の山川幸生主任弁護士は、東京高裁判決について、次のように述べています。
裁判所は、被告の「朝日訴訟の厚生大臣の裁量権を広く認める最高裁判決 (1967年) の解釈に立ち返って尊重するべきだ」との主張を排除した。
さらに裁判所は、老齢加算最高裁判決(2014年)が示す、科学的知見に基づいた正確な判断を合法性の要件とする内容に照らし、厚生労働省のデフレ調整に違法性があると指摘した。
裁判所の以上の判断は評価できる。
老齢加算裁判は結果として敗訴に終わっているけれど、その意義は今も大きい。
生活保護費削減に関する裁判は全国29都道府県で計1000人以上の原告である生活保護利用者により争われてきました。
これまでの40判決(地裁30/高裁10)のうち、原告側は25勝15敗(地裁19勝11敗/高裁6勝4敗)となっています(2025年3月28日現在/「いのちのとりで裁判全国アクション」による)。
東京のはっさく訴訟でも、複数の生活保護利用当事者が、生活保護費引き下げの不当性を訴えてきました。
提訴は2015年6月19日。
すでに10年近い歳月が流れています。
当初30名以上いた原告の中には亡くなられた方、健康を大きく損ねている方もいます……。
訴訟団、特に原告の皆さまの勇気と粘り強さを私たち「STOP!生活保護基準引き下げ」編集部は尊敬します。
とはいえ、裁判はまだまだ終わりません。
最高裁は今年5月27日に弁論を開くことを決定しています。
最高裁第3小法廷での審理対象は2023年4月の大阪高裁判決と同11月の名古屋高裁判決です。
大阪高裁判決では原告側が敗訴。
名古屋高裁判決は原告側が逆転勝訴して、国家賠償も認められました。
つまり大阪高裁と名古屋高裁で判断が分かれています。
最高裁判決は6月下旬から7月にかけて言い渡され、統一的な判断が示されると見られています(NHK「生活保護費訴訟 最高裁が5月に弁論 統一判断へ」)。
生活保護費引き下げは利用当事者だけの問題ではありません。
すべての人には「生存権」があります。
一人ひとりがそれぞれの人生において、幸福を追求する権利を持っています。
それを最低限に保証するのが生活保護制度です。
生活保護費の不当な減額は、国民全体の生活水準の低下につながりかねません。
私たち「STOP!生活保護基準引き下げ」編集部も、最後まで気を引き締めて、応援し続けます。
裁判所に入場する直前の訴訟団(2枚の写真は編集部撮影)。